介護の知識「老人性うつはどのように接するべきか」

高齢者のメンタルケア~老人性うつを知る~

どのように接すればいいのか?

老人性うつが疑われる高齢者との接し方は慎重かつ丁寧にが基本

老人性うつの高齢者をサポートする

老人性うつの高齢者をサポートする

老人性うつの治療法はうつ病の治療法と同じですが、高齢者特有のうつであることからどのようにサポートするかを考える必要があります。うつ病の患者には、常に自殺のリスクが伴います。老人性うつの患者を介護する際に重要なのは、患者本人や家族のプライバシーに配慮しながら対応することです。集団の中でケアを行うことが可能であれば、各種介護サービスを活用しながら支援することができるでしょう。介護職による対応が困難な場合には、精神保健福祉相談員や保健師が中心となって対応にあたります。

老人性うつを抱える患者とのかかわり方

老人性うつの患者とかかわるために重要なのは信頼関係です。心の問題に触れるには十分な注意が必要で、プライバシーに配慮していることや患者本人の心に寄り添おうという姿勢が伝わる形で対応しなければなりません。対応の基本は、時間と場所にゆとりを持ち、共感を持って相手の話に耳を傾けることです。励ましの言葉はかけず、話しかける場合には質問を用います。話を進めながら問題を明確にして、解決できる問題ならどのようにすればいいかを一緒に考えます。
老人性うつが疑われる高齢者に受診を勧める場合、慎重に話を進める必要があります。うつ病に対する負のイメージから、病気であることに対する強い否定の気持ちを抱えてしまうことが少なくないからです。まずはうつ病が珍しい病気ではないことと治療法があることを理解してもらいましょう。うつ病は弱さや怠けではないこと、ストレスが引き金となる脳の神経系の病気であること、誰もがかかる可能性があること、早めの受診が効果的な治療につながること、気軽に受診できることなどをわかりやすく伝える必要があります。老人性うつの高齢者との正しい接し方が紹介されている「「うつ病」と「認知症」の違い-症状や見分け方、正しい接し方とは?」も参考になります。

受診を勧めても拒否された場合

老人性うつが疑われる高齢者に受診を勧めて拒否された場合、理解が得られるよう根気よく説明します。本人よりも家族が反対している場合には、家族だけで精神保健相談を受けてもらえるよう打診してみることもできるでしょう。

入院が必要な場合

自殺したいという強い気持ちや激しいイライラ、焦燥感を抱えていたり、激しく衰弱していたりする場合には入院が必要かもしれません。プライバシーには十分配慮する必要がありますが、命の危険を伴う場合には関係機関と連携しながら速やかに対応する必要があります。老人性うつの背後に他の精神疾患が隠れている場合もあるので、介護職の独断ではなく必ず専門職へとつなげるようにしましょう。

老人性うつの知識を活かして働くために